フランス大統領、その役割とエピソード
2017フランス大統領選。
よく朝の支度の際にフランスのラジオを流しているのですが、この頃頻繁に政治の話を耳にします。
この前フランス人と話していて、「日本の大統領どうなってるの?いないって本当?」と聞かれました。
それってそんなにおかしなことかな?それなら私はフランス大統領の女性関係スキャンダルが気になる、、、
今回は、フランスの大統領って?誰がどんなことをしているのか?まとめてみたいと思います。
第五共和政における大統領
フランス革命でルイ16世をギロチンで処刑してから確立された政治を第一共和政とし、シャルル・ド=ゴール将軍がアルジェリア戦争を背景にし1958年に打ち立てた第五共和政が今でも続いています。
・直接普通選挙によって選出
(選挙権のあるフランス人(18歳以上、重犯罪者以外など制限あり。新成人は事前に各自治体にて選挙リストに登録が必要)
・任期5年(最大2期まで可能)
シラク氏の任期中に、以前の7年から短縮されました。そのため彼は2期12年大統領を務めました。
官邸であるエリゼ宮は、パリ8区にあります。毎週水曜日の朝には大統領と各大臣の会議が行われます。
内政、軍関連
外交、国際関係に責任を持ち、協定や条約に署名する。
核兵器使用の決定権を持つ。
戦争時やテロの脅威下などといった国の非常時には、憲法16条により大変広範な権威を持つ(しかしその期間中は国民議会を解散できない)。
モンテスキューを生んだフランスは、その三権分立を行なっています。
大統領は、立法権・行政権・司法権のうち、行政権を担います。
行政権関連
首相を指名し任命、首相とともに各大臣を任命。
また憲法制定協議会議長及び9人中3人の役員を任命する。
大統領は閣僚会議にて議長を務める。
政府によって決定された法令に署名する。
軍・文民(政府高官)のポストを任命する。
司法権との関係
恩赦を与える。
立法権との関係
国民会議(l'Assemblée nationale)の解散
法律の公布(でなければ法律は効力を持ちえない)
法律を通すためレファレンダム(国民投票)を使って国民に意見を求める(憲法改正案など)。
コアビタシヨン
もし大統領と国民議会の大多数とが異なる政治的立場の場合、大統領は国民議会の大多数と同じ政見の首相を選出します。これを「コアビタシヨン(cohabitation・共存)」と言います。
右派でRPR党のシラク政権下にてこの状態が発生し、首相には国民議会の多数と同じく左派で社会党のジョスパン氏となりました。
第五共和政、歴代大統領とそのエピソード
シャルル・ド=ゴール将軍
妻イヴォンヌは献身的なイメージで語られた。
当時、大統領のプライベートは不可触で想像もされないものだった。
ジョルジュ・ポンピドゥ
初めて自らサロンにメディアを呼び、妻クロードゥとともに「大統領夫妻」を演出。
ヴァレリー・ジスカールデスタン
ポンピドゥのようなメディア戦略を継承し、妻アンヌ=エモンヌは、毎年元旦に行われる国民への挨拶の際放送に登場。
フランソワ・ミッテラン
国家元首らを迎える際に妻ダニエールも同行したりとメディア露出あり。
しかし彼がエリゼ宮を去る数ヶ月前に隠し子の存在を公に。彼の葬式にて、正妻と第2パートナーであったアンヌ=パンジョは政治的な場面で初めて同じ画面に映った。
(これは死を予感して、財産分与などの心配から婚外子を公に認知させたらしい。)
ジャック・シラク
ジャーナリストでもあった妻ベルナデットによって、夫のプライベートを明かす本が発行された。
ニコラ・サルコジ
彼は任期中に離婚した初めての大統領。そして、新パートナーのカーラ・ブル二と「新しいカップル像」を見せた。
また彼は会見の際にこの件に対し「私たちのことを隠したいと思わなかった。ただある朝の私の写真を撮られてほしくはなかった。嫌な気分だ。そして、お判りの通り、これは真剣だ」と言及した。
フランソワ・オランド
彼は意に反して、不倫相手に会いにスクーターで移動しているシーンをパパラッチされてしまった。
彼らのエピソードから、大統領のプライベートとメディアの関係性の変遷を見て取ることができます。
フランスの政治評論家アラン・デュアムルは、オランドのパパラッチの件について、大統領のプライベートな生活は彼の政治的手腕とは全く影響のないものであるべきとし、このような写真が出回ることは、彼の生活を奪うことだとしました。
でも私がつい考えてしまったのは、日本の、育児休暇を取ったにも関わらず不倫が発覚した某元男性議員のこと。しかも奥さんが妊娠中の出来事だったそうな。政治家の政治的人生と個人的な人生は混同すべきでないとの考えもわかりますが、この場合は、彼の政見と行動が矛盾していますし、プライベートでの事実発覚・辞職によって、「こんなやつに男性の育児休暇を推進されて税金納めるところだったのか、危なかった」となるのもわかります。
今では、フランスにもたくさんのゴシップ雑誌があり、政治家もまるで芸能人のようにネタにされるそうです。それを見てどう思うかは置いておいて、どうしてそう扱うようになったのか、現状を顧みてみることも必要なのかもしれません。
参考動画
TV5mondeより。(フランス語)
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